強盗事件備忘録。
旅ブログの途中ですが、他の旅人にも気をつけてもらいたいという想いと、自分自身への戒めの為に、今回の事件と自分が学んだことを共有したいと思います。字だけですみません。
まずは事件の一部始終から。
その日は同じ宿に泊まっていた日本人のM君と一緒に、近所のボテロ美術館へ出かけた。
そこで嬉しいことがあったので、今思えば少し気が緩んでいたのかもしれない。
午後宿に戻り、天気も良かったので近くの山の上にある教会に行くことにした。
M君は少し疲れたので宿で休むと言った。
いつも通り、片道10km以内なら走りたかったので、トレランスタイルに着替え、ザックに財布やスマホ、上着や雨具などを入れて宿を出た。
スマホのGPSマップを頼りに、山の上まで最短距離で行けるトレイルを走ることにした。
もちろん外は明るい。
日没まであと3時間以上ある。
余裕で明るいうちに帰ってこれる時間だった。
ボゴタは街の標高が2600m以上あるので、空気が少し薄い。
街からトレイルに入り、全く人の気配のない林の中に続く上り坂を、息を切らしながら早歩きしていた。
一瞬だった。
後ろから誰かに肩を強く掴まれたと思った瞬間、目の前に逆手でナイフを構えた男が立っていた。
ナイフの位置は僕の首から約10cm。
僕は本能的に、一瞬で状況を把握した。
それとほぼ同じ瞬間に、どこに隠れていたのか、5人ぐらいの男が僕のザックを体から引き剥がし、僕の体を地面に倒すと服や帽子、靴を全て脱がしにかかっていた。
時計はいつ盗られたのか覚えていない。
どこかに金を隠していると思ったのか、奴らはパンツまで脱がしてきた。
当然周りには誰もいない。
少しでも抵抗すれば殺されるのはわかっていた。
彼らにとって、ツーリスト1人の人生が終わることなど、目の前の数万円に比べればどうでもいいことなのだ。
僕の体に残ったものはTシャツ、パンツ、靴下だけだったが、命という一番大事なものが残ったのは不幸中の幸いとしか言いようがない。
正直僕の足なら追いかければ追いつけた。
だが追いかければ殺されることも分かっていた。
数ヶ月前にコロンビアのメデジンで、やはり日本人の旅行者が強盗に襲われ、追いかけた結果犯人グループの一人に銃で撃たれ亡くなった事件は記憶に新しい。
終わったことを悔やむことはないが、学んだことならある。
特に今旅行中の旅人や、これから海外(コロンビア以外でも)に行こうとしている人はよく覚えておいて欲しい。
・たとえ昼間でも、誰もいないところを歩いてはいけない。
・日本人旅行者のブログ情報を当てにし過ぎてはいけない。必ずホステルのスタッフなど現地の人に、危険なエリアを確認すること。誰かが安全だったからと言って、あなたも安全とは限らない。
・本当に大事なもの(パスポートやクレジットカード)は、常に身につけていることが安全とは限らない。日本人宿に泊まるのであれば、宿で盗まれる可能性は低いので置いて行った方がいい。それでもリスクがゼロになることはないが。
・よく、お金は靴に隠せ、とか、パスポートはパンツの中に、とか言う人がいるが、それはスリのための対策でしかなくて、強盗に遭った場合は身ぐるみ剥がされるので無意味。
それでもやらないよりは良いと思うけど。
最後にどうしても言っておきたいのが、メデジンの事件や今回の僕の件は、運によるところが大きい。
どこの国だろうが安全と言われている地域だろうが、起こるときは起こる。
逆に言えば、ちゃんと気をつけて危ないエリアには行かないようにして、よほど運が悪くなければ海外を旅することは何よりも素晴らしい経験だと思う。
強盗には襲われたが僕はコロンビアが、ボゴタが大好きだ。
今回ボゴタでお世話になったホステルの管理人、ステファニーには本当に助けられた。
彼女は日本が大好きで日本に半年間留学していたこともあり、日本を上手に話す。
本当ならもっと長くボゴタに滞在して、色々とお手伝いをしてあげたかったけど、いつか絶対に恩返しをしたいと思う。
良いことがあれば悪いこともある。
悪い時が過ぎれば良い時がくる。
それが旅だし、それが人生だと思う。
"Life is a journey. "
僕はこれからも旅を続けていく。